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日記
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先輩に飲みに誘われて行きました。
先輩が日本酒大好きな方だったので日本酒のご合伴に預かりまして
ちびちびと色々な日本酒を飲んでいまいた。

ちなみに明日はなんかビール祭りに強制連行されます。
うおおお、私お酒弱いわけじゃないけど
顔赤くなるから外でならできるだけひかえたいんじゃー!!
とか思いつつもベルギービール気になるんで行きますがw

続きはそれいけ魔王さま!ですが、すみません話しが前後します





※※※※

ずっと昔、この世界に落とされたときの私。
その時のことはまだ覚えている。
目蓋の裏に張り付いて消えないあの光景を私は一生忘れないだろう。
たとえ、家族の顔すら忘れたとしても。

異世界の話しがあるなら聞きに行きたい。
異世界の物かもしれないという物があるならば見に行きたい。
異世界への異界渡りの方法があるなら藁をも縋る思いで試したい。


帰りたい。この世界のことなんて全部放りだしても。


私がいなくなって、この世界が崩壊を迎えるなんて言われたとしても、
そんなちっぽけなことだったら私は満面の笑みを浮かべて帰るだろう。

あの光景と共にこの思いは消えることはない。
元の世界に、私の世界に帰るために情報を集めたい。


だけど、そんなことを思っても、
『私』はどこまでいっても『魔王』でしかなかった。



~それいけ魔王さま!~



庭園をこそこそと通り抜けながら、薔薇のアーチをくぐった。
噴水の音がするが、逆方向に歩んでいるために段々水の音は小さくなっていった。

奥に奥にと進んで行くとようやく壁がでてくる。
私の逃走を阻むような大きな壁。

「・・・邪魔だ」

目の前にそびえる壁は敵の侵入を防ぐためか、空高く伸びている。
壁に手を触れてその高さをまじかでみるが、遠くから見ていても圧迫感がするのに近寄れば近寄るほど重苦しかった。

いくら金かけてんだが…。呆れたように半眼で見上げたがすぐに頭を振った。
壁は、敵の侵入を防ぐだろうが此方の逃げ道も絶つ。
だけど、そーいうのも考えられて逃げ道っていうのは確保されてるもんなんだよねえ。
鉄壁も、もはや我が手中。ほんのりと笑って誰かに見られる前に壁をまさぐった。




「ふんふん」

舗装された道を軽やかに闊歩する私。ああ、素晴らしい!
あのあと、上手い具合に魔王城から抜け出せて、城下街の市場を散策しているのだ。

ちなみに、途中の林の中で性別を誤魔化すためのベールをとって鞄の中にしまった。
かわりに闇色と呼ばれるこの黒髪を隠すために帽子をかぶる。
闇色は内界のものにとって母であり崇拝の対象なのだ。
選んだ地味なマントはそのままだ。魔族もマントを着ている傾向があるし。

今だけは、魔王でもなんでもないただの女でいられる。

「相変わらず賑やかー」

この市場は中道りで開かれていて道の両端を所狭しと小店がひしめき合っている。
お洒落な小物売り、元気な八百屋、ちょっと怪しい雰囲気の仕立屋、
狭い店の天井にわんさかと布を垂らした布屋など様々だ。

地面に大きな布をひいて露店を開いている牛頭の魔族もいれば
買い物客と店主との駆引きや声を張り上げる身体は虎であとは人間の呼び子の客寄せ、
道の端っこで井戸端会議している人間型、混合型のおばちゃん達など様々だった。

ちなみに、このなんちゃら型というのは、元々生まれ持った容姿の場合と、それぞれの魔力によって姿を変えている場合がある。
姿を変えるには大きな魔力が必要であるが、魔力を持つものは好んで人間型になるのが多かった。

露店と呼び子は魔獣本来の一部と人間を併せているから混合型。
おばちゃんの一人は上から下まで人間にしかみえないから人間型。
とはいえ尖った耳はそのままだが。とまあ、こんなものだ。

ちなみにこの光景は私の中では種族混合なアラビアンな市場のイメージと似ている。


「これなんだが、あるか?」
「ああ、まだあったよ。ちょっと待ってな」

「まあ!よしてくれよ!褒めたってなんもでないさ」
「そんなこと言ってあんたも満更じゃないんだろ?」


歩きながら拾った会話など明るくわいわいと賑やかな光景に頬を緩めたところで、鮮やかな香りが鼻を擽った。
匂いにつられてきょろきょろしていると、たくさんの布地の袋の中に赤や緑、
毒かなにかですかと真顔で尋ねたくなる青の香辛料などが顔を覗かせていた。
甘いような、でもどこか辛い独特な匂い。近寄って、覗き込むと向かい側からひょっこりとターバンを巻いた女の子が顔をだした。

「ひょわ!びっくりした!!」

「あはは、ごめんね」

人がいるなんて思ってもみなかった女の子は大きな瞳を瞬かせて、にこりと笑った。

「いらっしゃいませー。なにか、おさがしですか?」
「あー・・・」

まだ小さいだろうにニコニコと店番をしている女の子を見て、
私は口ごもった。不思議な匂いがしたから見てただけーとか、なんか申し訳ない。しょうがない。


「漢方薬みたいななにか薬になるようなものってある?」

「??お薬?」

「そう、お薬。」

「えっと、ちょっとおまちください」


そう言っておにいちゃーんと店の奥に走り去っていく小さな背中を見送って、のんびりと香辛料の類いを眺めようとしたが
「ほらあのお姉ちゃん」と先ほどの声がして顔をあげた。

隣りにいるのが彼女のお兄さんなんだろう。
「兄ちゃん今日ようやくもぎ取った休みなんだけどなあ」とぼやいてる彼に女の子から視線をずらすと
カーキ色のアラジンパンツに淡い色のタンクトップをあわせ、
灰色の上着を肩にかけていた紺色の髪の・・・、バッと視線を下ろした。

というかむしろ頭ごと下へ向けた。嫌な予感に冷や汗が背中をたれる。

だだだだって私、あの人見たことあるぞ?
しかも、城の中で見たことあるぞ!えっと、城勤の役人さんだよねー、
黒目黒髪かと勘違いしてたから凄く気になってたんだよね!!
だが落ち着け私。今、私は魔王でもないただの人間の女だ!
そう、ただの女!よし。

一瞬のうちに決心をつけてなんともなさそうに顔をあげる。ただの女、ただの女。

「お待たせしました。薬をお探しと伺ったのですが、どのようなものをご所望ですか?」

「あー、っと。き、緊張を和らげるような・・・」

なに言ってんの私!しどろもどろになりつつ答えたがお兄さんはなんの疑いももたずに乾燥させた葉っぱを見せてきた。
軽い説明から判断すると、リラックスティーの茶葉のようだ。
周りの香辛料の香りがキツかったが甘い花の匂いがして、迷わず購入した。

ちなみに銅貨で支払った。世の中へそくりって大事だよね!!
袋を受け取ろうと手を伸ばしたが中々渡されず不思議に思って顔をあげた。

紺色の瞳が訝しげにじっとこちらを見据えている。
その瞳の奥で揺らめいている疑惑に、もしやバレたのかと小さく震えた。
口を閉ざしていたお兄さんがこくりと首を傾けたがすぐにハッとして袋を渡してくれたので、
ひったくるように受け取りそうになったが、極力自制して受け取った。


「ありがとーございましたー」
と眠た気な声で見送られつつ、すたこらさっさと身体を翻して人混みへと紛れ込んだ。
だいぶ離れた所まで行って脇道に入ったところでようやく一息つけて胸に手を当てて長い溜息を吐く。


「びっくりしたー・・・」


あれバレてないよね。なんか最後若干眠たそうだったし。
半分寝ながら接客してたのかなあのお兄さん。
ふー、ともう一度呼吸を整えて細路地を見渡した。なるほど、ここはレストラン街か。


「っと、すまねえな嬢ちゃん」

「あ、こっちこそすみません」


がたいの良いおじさん―あ、ワシ頭だ―とすれ違いさまぶつかりそうになって慌て左に避けた。
上を向いて歩いていたのが悪かったのだろう。
お肉を焼いた食欲を促進する香りにお腹がぐう、と鳴ったので腹ごしらえでもするかーと一歩踏み出したが、
肩をがしりとつかまれ飛び上がった。振り返ると紺色の瞳。


「ギャッ!」

「あ、いや、」


不気味な叫びをあげた私に、わたわたと先ほどの香辛料のお兄さんが顔の横で手をあげた。
こちらに害意はない!主張のホールドアップである。なにしに来たんだこの兄さん。
まさか、やっぱりバレたの?い、いや、だが今私はただの女!!
魔王業は退職したの!ただのニートだなんか文句でもあんのか。

背の高い彼をじとりと下から睨みつけるが逆にガン見されてそろりと視線をそらした。
自分のヘタレ具合が憎たらしい。真顔でガン見とかイジメだろうが。
気まずげに足元に視線を向けていたらお兄さんがごそごそとポケットをまさぐって手をだした。


「さっきのお釣を渡すの忘れてしまって」

「・・・あ」


そういえば、さっさとおさらばしたくて品物だけしか貰ってなかった。
そろりと受け取るとお兄さんは申し訳なさそうに苦笑いを零していた。


「わざわざすみません・・・」

「謝るのはこっちですよ。ブルー、あ、妹に言われるまで気がつかなくて」


ちょっと恥ずかし気に頭をかくお兄さんのあの小さなターバンの妹さんってブルーていうんだなあ。
というかまた色の名前か。そう口走りそうになって慌てて言葉を呑み込んで、
ぺこりと頭を下げると慌ててお兄さんもぺこりと頭を下げた


「えっと、本当ありがとうござました、すみません」

「こちらこそ申し訳なかったです」

「えっと、それじゃあ・・・」

「あ、はい、・・・・・あ、あの!」


もう一度謝罪と謝意を別れの言葉にして身を翻したが、続けて投げかけられた言葉に
振り返ろうと思ったその一瞬、ドガガァン!!と大きな破壊音と共に横からなんかでかいのが吹っ飛んで来た。


「・・・は?」


思わず間抜けた声を零すが、バアンとこちらも大きな音をだして向かい側の壁にぶつかって止まった。

砂埃が白く舞う中、ぼろぼろになった木製の扉を下敷にしていた影が揺らめく。すっと人しれず私の背筋がのびた。

こ、これはきっとフラグだ・・・なんかの厄介ごとフラグだ・・・!!
関わるとめんどくさいことになんぞ!!怪我とか大丈夫かな、と
不安になったことは事実だったが立ち上がった影はぴんぴんとしている。

それならもう思い残すことはここにはない。
巻き込まれる前に逃げるが勝ちである。

パッと細い小道に歩きだして振り替えるな私は黒子、影薄いと言い聞かせてその場を脱した。


「イテテー・・・なァにしてくれちゃってんのよ?」

「うっさいわね魔王さまに突き出すわよ」


微かに聞こえたセリフに私はぶるりと身体を震わせて薄暗い裏路地をマントをはためかせながら走り抜けた。





やっぱりフラグだったのか!

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